ラディアント・ベイビー 6/21マチネ
主演の柿澤勇人さんが21日のマチネ公演中にアキレス腱断裂。その後の東京公演の演出変更、大阪公演の中止が決定しました。
私はその怪我をしたという公演を観劇していました。そのときのことを書き留めておこうと思います。
1幕
はっきりとどのタイミングで怪我したのかは分からなかったんですが、序盤です。
割と早い段階で右脚をまっすぐ伸ばして移動しているのに気がついて。でも気のせいだと思っていたんです。
しかし、その不安は的中。
本来ならキースが一番高いステージの上から上手におりてきて、カルロスへお坊さんに祝祷を捧げるのを提案するいちゃつきシーンで、彼らが高いステージから降りてこないんです。ここで確信しました。これは立ち位置変えるほどの怪我をしているんだ、と。(でも、そのシーンからの流れの卒業プロムについてカルロスに茶化されて「ほんとやだ…」とキースが言うシーンはちゃんと下に降りてきてたんですよね〜。まぁしゃがむとき、右足は立てていましたけど。)
最初は気づくか気づかないかって感じだった脚も、目に見えて動かない様子が分かるようになり、正面の階段を登る際には芝居と見せて這って登るようになり、1幕なのに泣いているお客さんもチラホラ。わたしも見てられなくて泣いてました(笑)
柿澤くんの立ち位置も本当はやるはずの演出(アートアタックの下手へビラを巻く演出)もなくなっており、最小限の動きになるよう変わっていました。
とにかく#paradiseのシーンがくるまで心臓バクバクで、ほんとにはやく1幕おわれ!と思っていました。#paradiseの頃には殆どのお客様がきづいていたと思うので、いつもは少ない手拍子も「なんとかやり終えてほしい!」という思いからか大きな手拍子になっていました。
2幕
なんとか1幕が終わり幕間。進行の確認のためということで開始が10分遅れました。1幕同様、立ち位置や衣装演出の変更あり。
知念さん、平間くん、洸平くん、真央くん、spiさん、汐見さんは負担をかけないように支えてくれていました。
特に印象的だったのがカルロスとキースのお別れのシーンでの洸平くんの行動。上手での#TOKYO POP SHOPの歌い始めのときにステージ下にキースも降りてくるはずなのですが、「降りてこなくていい!」とでもいうかのようにカルロスは2回ほど手と目でキースを静止しました。洸平くんが柿澤くんを止めた、のではなくあくまでカルロスがキースを止めた、と芝居の中でうまくやっていた洸平くん。さすがずっと一緒なだけあるなと思いました。
柿澤くんはといえば、2幕はもう諦めたのか、1幕では頑張って歩いて捌けていたところをけんけんで捌けるようになっていました(笑)高速けんけんなので大丈夫かよ…!とちがう心配をしました。
#Draw me a door前の「動けよ…!」って右足太ももをたたくキースがもう柿澤くんにしか見えなくて、キースがいまの柿澤くんと被っている気がして、もう途中からキースなんだか柿澤くんなんだか分からなくなりました。
カーテンコール
メインキャストは一番上のステージからは降りてこず。柿澤くんは泣いていました。口パクで「ごめんなさい(すいませんでした)」って言っていました。
わたしだったらほんとに悔しいしお客様に100パーセントを見せられなくてほんとに申し訳ないし、やりきれない、でも体も動かない、どうしたらいいかわからない気持ちでいっぱいだと思います。
でも限界のところまでの、いまできる精一杯を見せてくれたのは前日までの公演と変わらず。柿澤勇人という俳優さんの芝居にたいする熱量をすごく感じました。
まとめ
正直なところを言うと、観劇者としてこの公演では全く話の内容が頭に入ってこず、柿澤くんの状態ばかり気にしていましたから不完全燃焼感は否めません。
役者さんとしても、お客様にベストなコンディションで芝居を見せられなかったこと、ほんとは見せられるはずだった、作れるはずだった世界を作れなかったこと、本当に悔しいと思います。でも、柿澤くんもカンパニーも泣くくらい悔しいならもう一度観せてほしいです、キースの世界を。
なにはともあれ、私にとっていままで見た演劇の中で一番素晴らしい作品でした。最高のエンターテイメントでした。大好きな世界でした。ぜひ再演していただきたい作品です。とにもかくにもキャストの皆さんお疲れ様でした!
シアタークリエ「ラディアント・ベイビー〜キース・へリングの生涯〜」感想
シアタークリエ「ラディアント・ベイビー〜キース・へリングの生涯〜」観劇してきました。
演出:岸谷五朗
ネタバレもあるのでご注意を…
31歳という若さでエイズで亡くなったアーティスト:キース・ヘリングの生涯を歌って踊ってアーティスティックに表現した舞台です。主役のキース・へリングに柿澤勇人、キースの恋人カルロス役に松下洸平、キースの友人役に平間壮一、キースのアシスタントアマンダ役に知念里奈という豪華なキャスティング。それを支えるキャストさん方も実力派ばかりで歌・ダンスの表現力が抜群でした!
柿澤×松下という時点で熱い!それに今年3月に地球ゴージャス主催で行われた「The Love Bugs」から私の中で急上昇中の平間くんが出演するということで、フライヤー見た瞬間、個人的にすっごーく興味をそそられた舞台でした。
劇場は日比谷:シアタークリエ
JR有楽町駅から徒歩5分程度。何度か訪れたことがあり、個人的に大好きな劇場です。徒歩圏内にある日生劇場、帝国劇場よりも小箱で最後列でも見やすい印象。
舞台美術
セットがとにかくかわいい!キースの世界観を表したような個性的なセットです。しかし、残念なのが舞台上が平面ではなく、舞台前方、上手になるにつれて上がっていく通路のようなセッティングをしているということ。前列のお客様にとっては一部見えないシーンあるんですよねえ。このセットで立体感・アート感がものすごく出ているので後方のお客様は非常に楽しめるのですが。
お芝居
とにかく熱量が半端じゃないです。ミュージカルというよりショーという印象で、まるでキースの人生を表しているかのようなスピード感がすごい。天才の音楽家とか芸術家って即興でメロディーや作品のイメージが浮かんできたりするでしょ?そういう天才的なインスピレーションをストーリーのスピードで表現してるのかなと思いました。
「ついてこれるか?俺のスピードに」(by キース)
って感じ。観劇者がいかにキースの人生よりも早いスピードについていけるかです。観る人にとっては???ってなりそうですが(笑)とはいえ、ふんだんにダンスや歌織り交ぜてくるのでとても楽しい感じです。さすが岸谷演出。こういうスピード感のある世界、私好みです。
劇中歌も全て素晴らしい。ついつい口ずさみたくなる頭に残る曲調です。「Paradise」が人気のようですが、私は断然「Faster than the speed of life」派です。歌って踊りながら台詞が入る曲大好きなんです。芝居もさることながら劇中歌にも注目です。
メインキャストについて
キース役:柿澤勇人さん
出演されている皆さん「全身全霊」という言葉がそのまま当てはまりますが、特にキース役柿澤さんはすごい。前列で見ると滝のような汗が流れているのがよく分かり、観てる側としては「こんなに全力で演じたら死ぬんじゃないか」と思ってしまいます。ころころ表情が変わり、不安そうなキースも狂気的なキースも子供を愛するキースも見事に演じています。歌に乗せてお芝居しているのもさすがです、座長。
クワン役:平間壮一さん
クワンとしての登場の第一声が「キースは新しいイケメンを見つけたんだ。捜索願なんて必要ないよ」という衝撃的な台詞。踊りもできる。芝居も柔らか。歌も上手。この先ぐんぐん伸びていく役者さんなのかなと思います。ゴージャスとの作品の時も感じましたが、小さい体で誰よりも大きく踊っているので観ていて惹き付けられます。クワンは劇中通して微笑みが多い役でした。キース兄が壊れている感じなのでクワンを見るとホッとしましたが、きっとその笑顔の裏には抱えているものがたくさんあるんだろうと思いました。(クワンもエイズです)
アマンダ役:知念里奈さん
生で初めて見ましたが、かわいい。とにかくかわいい。綺麗な顔立ちなんですが、アマンダという役柄だからか、メインキャストの三人の男性の中だからか、すごく女性らしさを感じました。歌声もめちゃめちゃ綺麗。劇中歌「what if」のソロは素晴らしかった〜。ソロ曲の中で一番好きかもしれません。平間くん演じるクワンとのコンビもなかなかでした。クワンとアマンダできちゃえばいいのにと思っていました。
カルロス役:松下洸平さん
長身で小顔の人がいると思ったら洸平くんでした。笑 ゲイの役ということもあってなのか、とてもセクシーです。洸平くんってもっとかわいい感じだと思ってたんだけど。笑 キースと出会うParadiseのシーンでは見事に攻めており、キスシーンも見所です。またスリルミーのときとは違うんだよなぁ〜〜。彼のソロもカッコよかったです。発声法が他のキャストとは違う感じがしました。
最後に
なかなかお得な舞台です。完全に値段以上をペイしてます!私にとっては、上半期のベストスリーに入る舞台で、繰り返し見たくなる作品の一つでした。人間の生の熱量を感じますね〜。まだ公演は残っていますのでみなさんぜひ!私もあと2公演まだ残っています。
まだ公演はラン中ですが、はやく再演しないかなぁ〜と思っています。もちろんこのカンパニーで!
めざせ素敵な女性!
社会人2年目のへたれ女子です。